退職の基礎知識

退職時に有給消化はできる?トラブルとその対処法も解説

退職時における悩みの1つとして、有給消化が挙げられます。

有給は労働者の権利なので、会社の事情を問わず使うことが許されます。

ただ、それは退職時にも言えることなのでしょうか??

いくら労働者の権利とはいえ、退職時に使うのは少し抵抗がありますよね。

特に有給が溜まっていると、なおさらではないでしょうか。

では、実際のところ退職時に有給消化するのはありなのか?

そこで本記事では、退職時における有給消化の事情をまとめました。

 

本記事がオススメな人

今の会社を辞める予定だけど、有給を消化できるかが心配。

 

本記事を読むメリット

退職時に有給消化ができて、スッキリ退職できる。

 

退職時に有給消化はできる?

いきなり結論を申し上げますと、有給消化は退職時でもできます。

冒頭でもお話した通り、有給消化は労働者の権利です。

たとえ退職時でも会社に籍さえ残っていれば、有給の使用は認められます。

理由を答える必要もなく、仮に聞かれても「退職による有給消化のため」と答えれば大丈夫です。

有給が溜まっている人は、一気に消化してしまいましょう!

退職時によくある有給消化のトラブル|対処法も解説

退職時でも有給消化ができることは、お分かりいただけたのではないでしょうか。

ただ、退職時に有給消化を行うと、トラブルに見舞われることも少なくはありません。

本段落では4つのトラブルと対処法をまとめました。

退職扱いになって有給が使えない

意外とやりがちなのが、退職後に有給を使おうとするケースです。

例えば、3月で退職するにも関わらず、4月以降に有給を使うというイメージでしょうか。

当然ながら退職後に有給を使うことはできません。

有給の使用が認められるのは、あくまでも会社に籍を置いているときだけです。

ここで言う退職後とは、会社在籍最終日かつ雇用契約が終了する日を指します。最終出勤日のことではないので、ご注意ください。

対処法

退職後の有給は失効となるため、必ず在籍期間中に使用しましょう。

例えば、有給が10日分残っていて、3月末に退職するとします。

そうした場合、3月の中旬辺りを最終出勤日とし、残りの期間を有給休暇にするという感じです。

スケジュールと照らし合わせながら有給を取得すれば、後々のトラブルを避けられます。

有給を使い切れなかった

余裕を持って退職申告したものの、有給の日数が多すぎて使い切れなかったというケースもあります。

例えば、30日分の有給が残っているけど、退職申告したのが1ヶ月前だったため、営業日内(20日前後)に消化しきれないという感じですね。

そうなると、残りの10日分は失効する形となります。

対処法

退職申告の前に必ず有給の日数を把握し、その上で退職のスケジュールを組むことが大事です。

そのため、有給が残りすぎている場合は、2ヶ月~3ヶ月前と余裕を持って申告するのが大事です。

でも、中には急ぎで会社を辞めたい人もいるのではないでしょうか?
そうした場合は、一応1つだけ対策法があります。

それは有給を買い取ってもらうことです。

そんなことできるんですか!?
本来、有給の買取りは禁止とされていますが、中には例外もあります。

詳しくは「退職時における有給消化のQ&A」で解説しますが、1つの方法として頭に入れておきましょう。

有給を使わせてもらえない

上司に有給取得を申請したものの、「繁忙期だから」、「他の社員は使わないから」など、色々な理由を付けて有給が認められないことも珍しくはありません。

しかし、会社側が有給申請を拒否するのは、労働基準法39条の違反に当たります。

労働基準法39条では、以下のように有給休暇の指定が義務付けられています。

使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。

引用元:e-GOV

中には「就業規定だから」と拒否してくるケースもありますが、法律には勝りません。

いかなる理由を付けられようが有給取得はできるので、その点はご安心ください。

対処法

法律が武器になるものの、それでも有給を認められない場合は、どうすればいいのでしょうか?

どうしても拒否される場合、まずは会社の人事部に相談しましょう。

人事部や総務部は、会社の経営関係に詳しいこともあり、専門的な目線で物事を判断してくれます。

上司のいい加減な言い分に対しても、強く言えるのが強みです。

もし、人事部に相談しても解決できない場合は、より法律に強い労働基準監督署や弁護士に相談してみるとよいでしょう。

詳しくは後述の「1人で抱え込まないで!退職時の有給申請が通らないときの相談先」にて解説いたします。

有給申請したのに欠勤扱いになっている

有給申請をしたにも関わらず、欠勤扱いで無給になっているというケースですね。

適正な手続きで有給申請を行っても欠勤扱いにされた場合、会社側が違法に欠勤扱いにした可能性が考えられます。

対処法

有給が受理されたにも関わらず、給与が支払われていない場合は、賃金不払いとして請求する権利があります。

仮に10日分の有給が無給となっていた場合、10日分の不足額を算定して請求しましょう。

請求する際は、有給申請を行ったことが分かる書類や有給の日数が記載されている書類(主に給与の明細書)など、証拠を用意しておきましょう。

証拠があれば、相手も言い逃れできなくなります。

仮に証拠を用いても、給与が支払われなかった場合は、どうすればよいのでしょうか??

そうしたときは、労働基準監督署や弁護士に相談するのがベストです。

いずれも法律に専門の知識を持っているので、会社に対して強い姿勢で臨めます。

退職時にスムーズに有給消化をする方法

このように、退職時に有給消化を行うとすると何かしらトラブルに見舞われることがあります。

会社とのトラブルを避けつつ、スムーズに有給消化を行う場合は、以下のポイントを抑えておきましょう。

有給の日数を確認する

先ほども少し解説しましたが、退職申告する前に有給の日数を確認しておきましょう。

有給の日数を確認しておくことで、退職スケジュールを組みやすくなるからです。

例えば、有給の日数が15日分あって、退職月にまとめて消化するとします。

この時、15(16)日~30(31)日を休みにしようと考える人もいるでしょう。

しかし、会社が週休二日制の場合、休日のことも頭に入れなければなりません。

週休二日制だと、1ヶ月で8日~10日・・半月で4日~5日分の休みがありますからね。

15日分をまとめて消化する場合、その月の10日~12日辺りから休みにする必要があります。

休日をカウントしないように、気を付けないといけませんね。
だからこそ、退職申告する前に、有給の日数は確認しておいてほしいのです。

なお、有給の日数は給与の明細書を確認したり、給与計算を行う人事部や総務部に聞いたりすることで確認できます。

退職申告は早めに行う

退職申告をギリギリに行うと上述したスケジュール調整に支障が出たり、会社側も人員確保でバタバタしたりしてしまいます。

会社からして従業員が1人減るということは大きな損失で、人員が確保できていない状態で辞められるのは、正直避けてほしいところです。

そのため、ギリギリで退職申告すると、有給許可を拒否されることも珍しくはありません。

有給は労働者の権利だけど、会社側の事情を考えると少し同情してしまいますね・・。

有給をまとめて消化する場合は、2~3ヶ月前と余裕を持って退職申告を行いましょう。

業務の引継ぎを行っておく

退職(有給休暇)前には、業務の引継ぎも行っておきましょう。

業務の引継ぎを行っておくことで、社内の混乱や取引先に迷惑がかかるのを避けられます。

マニュアルを作成する」、「取引先に後任を紹介する」など、できる限りのことは済ませておきましょう。

事前準備をしっかりと行っておけば、会社側も安心して有給を許可してくれます。

1人で抱え込まないで!退職時の有給申請が通らないときの相談先

退職時に限らず、有給申請が通らないと打つ手が無くなります。

自分1人で解決できない場合、下記の場所に相談してみましょう。

会社の人事部や総務部

直属の上司に有給申請を拒否された場合は、人事部や総務部に相談しましょう。

先ほども解説しましたが、人事部や総務部は経営関係の法律に詳しい人が多いので、専門的な目線で物事を判断してくれます。

直属の上司に対して、有給の許可を認めるよう説得してくれることに期待できます。

労働基準監督署

人事部や総務部が駄目だった場合は、労働基準監督署に相談してみましょう。

会社に違法行為が認められた際には、立ち入り検査や指導を行ってくれます。

また、公的機関なので無料で利用できるのもポイントです。

ただし、労働基準監督署は基本的に中立の立場なので、個人間のトラブルによる交渉までは行ってくれません。

分かりやすく説明するなら、警告だけで留めるという感じですね。

弁護士

上記の2箇所に相談しても駄目だったときは、弁護士に相談してみましょう。

弁護士は、個人的なトラブルに対して介入できる権利があります。

そのため、会社に対してより強い姿勢で交渉できます。

デメリットは、依頼の際に値段がかかることでしょうか。

下手すれば有給の額よりも、報酬依頼のほうが高くなることも・・。

ただ、中には取り戻した額の何%かを差し引く形で、依頼を引き受けてくれる弁護士もいます。

例えば、10万円分の不足額を取り戻したら、その内の20%(2万円)だけを払うという感じです。

また、相談だけなら無料で受け付けている場所も多いです。

弁護士に依頼するメリット・デメリット、報酬体系を理解した上で依頼する・しないかを決めましょう。

退職時における有給消化のQ&A

退職時に有給を消化する場合、他にも細かい疑問が生じるかと思います。

本段落では、よくありがちな疑問点をQ&A形式でまとめました。

退職時のトラブルを阻止するために大事なことなので、目を通しておきましょう。

Q1:有給消化をしながら転職活動はできる?

もちろん可能です。

有給消化は愚か在職期間中であっても、転職活動はできます。

有給期間に入るまで転職活動を行う余裕がないという人は、有給消化している間に転職活動を進めるのも1つの手です。

ただし、転職活動は想像以上に時間を要することもあります。

あんまり時間がかかると生活費やブランクにも影響するので、可能であれば在職期間中に転職活動を行うのがベストです。

いずれにせよ、デメリットがあることを理解した上で、自分にとって最善な形で転職活動をスタートしましょう。

Q2:有給消化期間中に転職先の就業が始まったら?

有給消化期間中に転職先の就業が始まるというのは、二重就労が行われることを意味します。

いずれの会社も、二重就労が許可されていれば特に気にする必要はありません。

しかし、二重就労が禁止されている場合、就業規則に沿って処分を下されます。

下手をすれば懲戒解雇として扱われ、退職金の取り消しも考えられます。

そのため、有給消化期間中に次の職場で仕事が始まる場合は、必ず就業規則に目を通しましょう。

もし、二重就労が禁止されている場合、転職先の入社日を遅らせてもらうよう交渉する必要があります。

Q3:有給消化期間中にボーナスの支給日が来た場合は?

ボーナスは、支給額の算定期間の会社業績や勤務成績に応じて支給されます。

つまり、有給期間であっても、会社に籍がある以上はボーナスの支給対象となるわけです。

その代わり、ボーナスの支給額は会社の裁量で決められることもあります。

有給期間中だから」と減額されることも頭に入れておきましょう。

Q4:有給消化を買い取ってもらうことはできる?

先ほど少し触れましたが、有給消化が間に合わない場合は、会社に有給を買い取ってもらうのも1つの方法です。

通常、有給の買取りは禁止とされていますが「退職時に有給が未消化になる場合は買取り可」など、一部例外もあります。

ただし、実際に買い取ってくれるかは、会社ごとに異なります。

そのため、不明点がある場合は、会社の就業規則に目を通したり人事部に聞いてみたりするとよいでしょう。

退職時に有給消化できない場合は退職代行サービスに頼ろう

  • 長時間残業・休日出勤が当たり前で、有給を申請できる雰囲気ではない
  • 上司からの圧力が怖くて、まず退職申告すらできない

このような悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。

有給申請以前に、退職申告すらできないと何も始まりませんよね。

そこで活躍するのが退職代行サービスです。

退職代行サービスでは、業者があなたに代わって退職の手続きを全て行ってくれます。

一度依頼が成立すれば、あなたは二度と出社することなく会社を即日退職できます。

そんな便利なサービスが存在するのですね!

さらに、退職代行サービスの中には、有給休暇の申請を交渉してくれる業者もあります。

代表例として、労働組合が立ち上げた「SARABA」や弁護士が運営する「弁護士法人みやび」が挙げられます。

これらの業者は下記記事に詳しくまとめていますので、よろしければ一度ご覧になってみてください。

退職代行『SARABA』のリアルな口コミを暴露【コスパ最高峰】退職代行は依頼料金が高いことで有名です、その中でも「SARABA」という業者はコスパ最高峰で知られています。その言葉の意味とは何なのでしょうか?本記事では、SARABAの特徴、口コミに切り込んでいきます。...
弁護士法人みやび(汐留パートナーズ)の退職代行とは?評判は?【結論:最強の退職代行】弁護士法人みやびは、その名の通り弁護士が退職代行してくれます。弁護士と聞くだけで安心感はありますが、他の退職代行業者と具体的にどう違うのか?本記事では、弁護士法人みやびのメリット・デメリット、評判をまとめました。...

まとめ

有給は労働者に認められた権利ですが、使うタイミングを逃したり理不尽な理由で会社に拒否されたりすることもあります。

特に退職時は、トラブルが出やすいです。

こうした事態を避けるためにも、本記事で解説した内容をご活用いただければと思います。

有給をきちんと消化し、今の会社に未練を残すことなく、おさらばしましょう。