会社を辞める上で最後の難関とも言えるのが、退職申告です。
会社を辞めたいと思いつつも、上司の前に立つと中々言い出せずに悩む人もいるでしょう。
そうしたことから、LINEで退職を申告しようか検討している人も多いのではないでしょうか。
LINEであれば相手と顔を合わせる必要がないので、緊張することなく退職申告ができます。
しかし、退職を伝える方法といえば、一般的には「直接申告」が「書面申告」の2パターンです。
正直なところ、「LINEで伝えるのはありなのか?」ですよね。
そこで本記事では、LINEで退職を伝えるときの諸事情をまとめました。
LINEで退職を申告しようか悩んでいる。
LINEで退職を伝えられるか否かが分かり、自分に合った正しい退職申告ができる。
目次
違法ではない!退職をLINEで伝えるのは全然可能な件!
最初に結論から申し上げますと、退職をLINEで伝えることは全然問題ありません。
なぜなら、退職の伝え方は特に法律上で定められていないからです。
民法上でも以下のように書かれています。
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
引用元:e-Gov
そのため、退職意思が会社側に伝わりさえすれば、LINEであっても退職は認められます。
※注意※世間的には非常識と思われることも
退職をLINEで伝えることは、法的に問題ありませんが、世間の目では良いように見られないこともあります。
というのも、大手転職会社で有名なマイナビウーマンが調べた「ありえないと思う退職届の出し方」の調査結果によると、以下の結果が出ております。
Q.ありえないと思う退職届の出し方を教えてください(単一回答)
1位 メールやLINE 39.7%
2位 SNS経由 17.0%
3位 家族が届ける 10.7%
3位 同僚に言づけ 10.7%
5位 電話・FAX 8.2%調査期間:2014/4/7~2014/4/16
有効回答数:男性168名、女性414名(ウェブログイン式)
マイナビウーマン調べ引用元:マイナビウーマン
このように、メールやLINEによる退職申告が一番非常識と思われていることが分かります。
たとえ法的に問題はなくても、第三者からは良いようには思われません。
周囲の目が気にならない人ならまだしも、気になる人は考え直したほうがよいでしょう。
LINEで退職を伝えるメリット
LINEでの退職申告は、第三者からの評判がよくない一方、メリットもあります。
本段落では、3つのメリットを解説いたします。
上司と直接顔を合わせずに済む
退職をLINEで伝える最大のメリットは、やはり上司と顔を合わせずに済むことです。
というのも、LINEで退職を伝えようと考えている人の大半は、「上司と顔を合わせたくない」と悩まれているからではないでしょうか。
例えば、普段から上司にパワハラ行為を受けていたら、退職申告したときも同様の行為を受ける恐れがあります。
そうしたことを考えると、顔を合わせずに退職申告できるメリットは非常に大きいです。
場所を選ばずに伝えられる
LINEで退職を伝えるので、基本的に場所を選びません。
家で申告するのもいいですし、外出先で申告するのもよしです。
たとえLINEといえど、退職文を入力するときは緊張しますし、人それぞれリラックスできる場所があります。
例えば、家の中が落ち着く人もいれば、外が落ち着く人もいるわけです。
また、場所を選ばないので、家族や知人に付き添ってもらいながら入力することもできます。
おかげで精神的な負担が減り、誤入力などのミスを防げます。
お互い無駄な時間を使わずに済む
直接会わなくて済む分、余計な話をする必要がなくなるため、お互い無駄な時間を使わずに済みます。
特に会社が繁忙期の時期だと、話を持ちかけようとしても、断られてしまうケースがあります。
結果、ズルズルと引き延ばされて会社を辞めることもままなりません。
それを考えると、LINEでスパッと伝えるのも1つの方法ではないでしょうか。
LINEで退職を伝えるデメリット
このように、LINEで伝えることは意外にもメリットが多いことが分かりました。
しかし、必ずしもメリットばかりとは限りません。
本段落では、3つのデメリットを解説いたします。
退職を認められないケースがある
民法上では、退職申告の方法は問いませんが、中には例外もあります。
例えば、会社の就業規則で定められている、LINEを業務用ツールとして認められていないなどの理由です。
こうした会社の規定で何かしら制限がある場合は、LINEでの退職は受理されない可能性があります。
スムーズに辞められない
退職を伝えることができても、そこからすぐに辞められるとは限りません。
例えば、業務の引継ぎやシフトの対応などがあると、2週間~1ヶ月は出社する必要があります。
また、会社を辞めることはできても、制服の返還や書類関係の細かい手続きなどで出社が必要なケースも考えられます。
職場によっては、退職申告できても「すぐには辞められない」あるいは「再度出社する必要がある」ということを頭に入れておきましょう。
悪い噂が立つ場合がある
先ほども解説した通り、LINEでの退職申告は、第三者からはあまり良いようには見られません。
そのため、あなたの悪い噂が立つ可能性があります。
ただ、社内で広まった悪評が取引先の企業や他の企業にまで広まると、ご自身の転職活動に影響する可能性もあります。
正直、稀なケースではありますが、私の知人で似た経験をした人がいるので、頭に入れておいてもらえると幸いです。
どう書く?LINEで退職を伝えるときの文章
ここまでの内容を見て、「LINEで退職を伝える」と決心している人も多いのではないでしょうか。
ただ、いざ書こうとしたものの、「どう書けばいいのか?」ですよね。
本段落では、以下のようにテンプレを作ってみました。
◯◯さん(様)
お疲れ様です。退職 太郎です。
突然のご連絡となり誠に恐縮ですが、体の健康上の都合により◯月△日をもって退職させていただきたい所存でございます。
本来は直接お会いして伝えるべきですが、自身の健康状態を考えたところ、出社が困難と判断したため、このような形で報告させていただきました。
LINEでの報告となってしまい、申し訳ございません。
今まで大変お世話になりました。
退職をLINEで伝えるときの注意点とポイント
退職をLINEで伝えるときの文章については、ご理解いただけたでしょう。
ただ、伝えるときにはいくつか注意点があります。
5つの詳細をまとめましたので、見てまいりましょう。
文面を証拠化しておく
LINEによる退職申告で会社側とトラブルが起きたとき、証拠がないと労働者が不利になります。
そのため、送った文面は証拠として残しておきましょう。
そのため、LINEで送った文面はスクリーンショットやキャプチャなどで保存し、可能であれば別の端末やパソコンに保存しておくとよいでしょう。
そうすれば、万が一携帯が壊れても証拠を失わずに済みます。
プライベート感のある文章で書かない
LINEを使うと、ついつい癖でプライベート感のある文章で書いてしまう人もいるでしょう。
しかし、砕けた書き方だと冗談半分と捉えられてしまい、退職を受け付けてもらえない場合があります。
それに退職申告は、本来なら書面上に書くものなので、柔らかい口調で書くのは好ましくありません。
絵文字や顔文字はもちろん、「!」といった記号は使わずに、先ほど紹介したテンプレ文のように固い口調で書きましょう。
誤送信に注意する
LINEでよくありがちなのは、誤作動で送信してしまうことです。
LINEあるあるの話ではないでしょうか。
普段のやり取りで誤送信するならまだしも、退職はシビアかつ大事な話なので、できる限りミスは避けたいところです。
ただ、LINE上といえど、退職の文を入力する際は、かなり緊張するでしょう。
緊張のあまり、文章の入力中に送信してしまうことも考えられます。
そのため、最初からLINEに打ち込むのではなく、メモ帳などのツールに打ち込んでからコピペするとよいでしょう。
業務上のツールとして認められているか?
LINEが会社側の業務ツールとして認められていない場合、退職も受け付けてもらえない場合があります。
なぜなら、業務用のツールではないため、どうにでも捉えることができてしまうからです。
極端な話、友達に対して冗談半分で送った内容という風に捉えることもできるわけです。
そのため、LINEで退職を伝える場合は、業務用のツールであるかを確認しておきましょう。
裁判例あり!就業規則に目を通しておく
会社側がLINEによる退職申告を認めていない場合も要注意です。
というのも、会社側が就業規則で退職の方法を定めている場合は、それに従う必要があります。
これは実際に裁判でも有効とした事例があるぐらいです。
昭和38年9月30日に、横浜地裁で行われた判決を見てみましょう。
一旦制定された就業規則はその企業における労使双方に妥当とする制約として被用者の利益のためにも使用者を拘束するものというべきところ、被申請人の就業規則第40条に定めるところも、一方、被用者が退職するに際し、その時期、事由を明確にして、使用者に前後措置を講ぜしめて企業運営上無用の支障混乱を避けるとともに、他方、被用者が退職という雇用関係上もっとも重大な意思表示をするに際しては、これを慎重に考慮せしめ、その意思表示をする以上はこれに疑義を残さぬため、退職にさいしてはその旨を書面に記して提出すべきものとして、その意思表示を明確かつ決定的なものとし、この雇用関係上もっとも重要な法律行為に紛争を生ぜしめないようにするとともに書面による退職の申出がない限り退職者として取り扱われないことを保証した趣旨であると考えねばならない。
上記の判決はLINEではありませんが、就業規則の通りに退職申告をしなかったため、会社側が勝訴した事例です。
そのため、就業規則に退職のことで規定がある場合は、その規定に従って申告しましょう。
LINEではなくても上司と会わずに退職できる方法
上司と顔を合わせたくないという気持ちから、LINEばかりに目が行きがちですが、方法は1つだけとは限りません。
「LINEで伝えても上手くいかなかった。でも、やっぱり上司と顔を合わせずに退職したい」という人もいるでしょう。
そこで、活躍するのが退職代行サービスです。
退職代行サービスとは、その名の通り業者があなたに代わって退職手続きを行ってくれるサービスです。
業者への依頼が成立すれば、後は全て業者が丸々と引き受けてくれます。
退職代行サービスの最大の強みは、あなた自身が出社せずに即日退職ができてしまうことです。
実際、「退職成功率100%」を謳っている業者や「労働組合や弁護士が立ち上げ」の業者もあるぐらいです。
労働組合や弁護士は、会社と対等な立場で交渉できるので、有給消化や残業代の未払いなどの問題にも強い立場で臨めます。
単に退職手続きを行うだけではなく、利用者を徹底的にフォローしてくれるのがポイントです。
詳しくは下記サイトにまとめていますので、よろしければ一度ご覧になってみてください。
※注意※退職代行サービスは料金が高め
1つ注意点として、退職代行は料金が高いということです。
細かい料金は業者ごとに異なりますが、安くても25,000円程度は発生します。
決して安い料金ではないので、退職代行サービスを利用する際は、慎重にご検討ください。
まとめ
LINEで退職を伝えることは法律上問題ないので、どうしても上司と顔を合わせたくない人は1つの手段として行うといいでしょう。
ただ、直接申告や書面の申告に比べてデメリットが多く、申告する際の注意点も抑えておく必要があります。
LINEで退職を伝える場合は、これらを理解した上で行うようにしましょう。
それか、「LINEで伝えるのは難しい」と感じた場合は、勇気を持って直接伝えるのもいいですし、最後の手段として退職代行サービスもあります。
方法は1つではないので、あなたに合ったベストなやり方で、今の会社とおさらばしましょう。